PDF/Aで長期保管する完全ガイド — アーカイブ形式の選び方と変換方法【2026年版】
<p>PDF/Aは長期デジタルアーカイブのための最も信頼できるフォーマットです。ISO 19005規格で定義されたPDF/Aは、法的文書・行政記録・企業文書・学術論文を50年・100年後も正確に再現できる形式として、政府機関・金融機関・法律事務所・アーカイブ機関が採用しています。通常のPDFとの最大の違いは、外部依存(フォント埋め込み必須・外部リンク禁止)・暗号化禁止・特定の機能制限によって将来の再現性を保証する点です。</p><p>日本では2022年1月施行の改正電子帳簿保存法により、電子取引データ(電子メール添付の請求書・注文書・契約書など)の電子保存が義務化されました。2025年1月1日以降は猶予期間が終了し、全事業者がデジタルデータでの保存に完全移行しています。法定保存期間は法人税法で7年間(欠損金がある場合は10年間)、消費税法でも7年間であり、この期間中にPDFが正確に再現できる保証が必要です。PDF/Aはこの要件を満たす最も確実なフォーマットです。</p><p>PDF/Aには3つのバージョン(PDF/A-1・PDF/A-2・PDF/A-3)と各バージョン内の適合レベル(aとb)があり、用途によって適切な規格が異なります。例えば日本の電子帳簿保存法では「スキャン保存」の要件としてPDF/A-1またはPDF/A-2を推奨(国税庁ガイドライン2023年版)していますが、一般的な長期保管には最新のPDF/A-3も有効です。</p><p>本ガイドでは、PDF/Aの規格の仕組み・各バージョンの違い・無料での変換方法・法的要件への対応まで、実務で使える詳細な情報を提供します。不動産・法律・会計・行政・医療など規制産業でのPDF/A活用と、通常PDFとのコンプライアンス上の違いを明確に解説します。</p>
PDF/Aとは何か — 通常のPDFとの根本的な違い
<p>PDF/A(Portable Document Format/Archival)は、ISO 19005シリーズで規格化されたデジタルアーカイブ専用のPDFサブセットです。「将来にわたって自己完結して再現できる電子文書」を実現するために、通常のPDFから一部の機能を制限し、長期保存に不可欠な要素を必須化した規格です。</p><p><strong>【PDF/Aが通常PDFと異なる主要な要件】</strong></p><p><em>1. フォントの完全埋め込み(必須)</em><br>通常のPDFでは、閲覧者のシステムに同じフォントがインストールされていれば埋め込みを省略できます。しかしPDF/AはすべてのフォントをPDFファイル内に完全埋め込みすることを必須としています。これにより50年後に開いても文字が正確に表示されます。フォントが埋め込まれていない場合、PDF/A検証ツールが「不適合」と判定します。フォント埋め込みの問題については<a href='/ja/blog/pdf-font-moji-bake-taisaku-guide'>PDFのフォント・文字化け対策完全ガイド</a>も参考にしてください。</p><p><em>2. 色空間の完全指定(必須)</em><br>PDF/Aでは、ファイル内のすべての色がICCプロファイルによって完全に指定されていることが必要です。デバイス依存の色空間(デバイスRGB・デバイスCMYKなど)の使用が制限され、代わりにsRGBやsGRAYなどのデバイス独立色空間の使用が求められます。これにより将来の表示デバイスが変わっても色が正確に再現されます。</p><p><em>3. 暗号化の禁止</em><br>通常のPDFではパスワード保護・著作権保護のための暗号化が可能ですが、PDF/Aでは暗号化が禁止されています。これはアーカイブ文書が将来も確実にアクセス可能である必要があるためです。機密文書のPDF/A化の際は、ファイルシステムレベルの暗号化(暗号化ストレージ・暗号化ファイルシステム)による保護を代わりに使用します。</p><p><em>4. 外部コンテンツ参照の禁止(一部)</em><br>PDF/A-1・PDF/A-2では、インターネット上のリソース(外部Webページ・音声・動画)への参照が禁止されています。ファイルが自己完結していなければ、参照先が消滅した場合に文書の完全性が損なわれるためです。PDF/A-3のみが、XMLやスプレッドシートなどの添付ファイルを許可しています。</p><p><em>5. JavaScript・フォームの制限</em><br>PDFに埋め込んだJavaScriptコードやAcrobatフォームの一部機能はPDF/Aでは禁止されています。インタラクティブなPDF(自動計算フォーム・動的コンテンツ)をPDF/A化する際はこれらの機能が除去されます。</p><p><strong>【PDF/A採用機関の例】</strong><br>・日本国立国会図書館:デジタルアーカイブのマスターフォーマットとしてPDF/A採用<br>・財務省・国税庁:電子帳簿保存法スキャン保存の推奨フォーマット<br>・ドイツ連邦公文書館:連邦政府文書の長期保管標準フォーマット<br>・欧州司法裁判所:法廷提出書類の標準フォーマット<br>・世界銀行・IMF:財務報告書の公式保管フォーマット</p><p>PDF/Aと通常PDFの比較および他のPDF関連規格との違いについては<a href='/ja/blog/pdf-a-x-chigai-kantan-kaisetsu'>PDF/AとPDF/Xの違い簡単解説</a>でさらに詳しく解説しています。</p>
PDF/A-1・PDF/A-2・PDF/A-3の違いと適切なバージョンの選び方
<p>PDF/Aには3つのメジャーバージョンがあり、それぞれ異なるISO規格で定義されています。各バージョンにはレベルa(accessible)とレベルb(basic)の2つの適合レベルがあります。</p><p><strong>【PDF/A-1(ISO 19005-1:2005)】</strong><br>最も厳格な初代規格で、PDF 1.4ベースです。日本の電子帳簿保存法(スキャン保存)の要件を満たす最も安全な選択肢です。</p><p>主な特徴:<br>・ベースとなるPDF仕様:PDF 1.4<br>・透過効果:禁止(文書内の透明オブジェクト不可)<br>・レイヤー(オプショナルコンテンツ):禁止<br>・JPEG2000画像:禁止(JPEG・PNG・TIFFは可)<br>・外部コンテンツ参照:禁止<br>・暗号化:禁止<br>・音声・動画:禁止</p><p>適合レベルの違い:<br>PDF/A-1a(レベルa):構造ツリー(タグ付きPDF)が必須で、画面読み上げソフト(スクリーンリーダー)やアクセシビリティツールが文書構造を解釈できます。政府・公的機関の文書に推奨。<br>PDF/A-1b(レベルb):視覚的な再現性のみを保証。タグ付きPDFは不要ですが、文書構造の意味は保証されません。一般的な企業文書の長期保管に適しています。</p><p><strong>【PDF/A-2(ISO 19005-2:2011)】</strong><br>PDF 1.7ベースで、PDF/A-1の制限を一部緩和した第2世代規格です。現代のPDF機能との互換性が高く、新規作成文書の長期保管フォーマットとして最も広く採用されています。</p><p>PDF/A-1からの主な改善点:<br>・透過効果:PDF/A-2から許可(グラデーション・透かし・影などのデザイン要素が可)<br>・レイヤー:PDF/A-2から許可(建築図面・多言語文書などのレイヤー構造が可)<br>・JPEG2000画像:許可(より高品質な画像圧縮が可能)<br>・PDF/A-1準拠のPDFを埋め込み:許可(ファイルのネスト化が可能)<br>・電子署名:向上(PAdESフォーマットへの対応改善)</p><p>適合レベル:PDF/A-2a・PDF/A-2b・PDF/A-2u(2u はユニコード対応を追加要件とする)</p><p><strong>【PDF/A-3(ISO 19005-3:2012)】</strong><br>PDF/A-2の要件に加えて、任意の形式のファイル添付を許可した最新規格です。電子インボイス(ZUGFeRD・Peppol形式)の標準フォーマットとして欧州で広く採用されています。</p><p>PDF/A-2との主な違い:<br>・任意形式のファイル添付:許可(XMLデータ・Excelファイル・JSON・ZIP添付が可能)<br>・ハイブリッドPDF:人間が読める表示と機械が読めるデータを1ファイルに統合可能</p><p>適合レベル:PDF/A-3a・PDF/A-3b・PDF/A-3u</p><p><strong>【バージョン選択の実践ガイド】</strong><br><br>電子帳簿保存法スキャン保存:PDF/A-1b または PDF/A-2b推奨<br>法的文書の長期保管:PDF/A-1b または PDF/A-2b<br>公的機関・政府文書:PDF/A-2a(アクセシビリティ対応必須)<br>電子インボイス・請求書:PDF/A-3b(ZUGFeRD・Peppol対応)<br>建築図面・CAD文書:PDF/A-2b(レイヤー対応)<br>一般的な企業文書アーカイブ:PDF/A-2b(バランスが良い)</p>
PDFをPDF/Aに変換する方法 — 無料ツールを使った手順
<p>通常のPDFをPDF/A形式に変換するには、フォントの埋め込み・色空間の指定・禁止要素の除去を自動的に処理できるツールが必要です。主な変換方法と各ツールの特徴を解説します。</p><p><strong>【PDF/A変換ツールの選択肢】</strong></p><p><em>Adobe Acrobat Pro(有料・最も信頼性が高い)</em><br>「名前をつけて保存」→「PDF/A」からPDF/A-1b・PDF/A-2b・PDF/A-3bへの変換が可能です。変換時に非準拠要素を自動検出して修正レポートを生成します。ただしAdobe Acrobat Proの年間費用は個人ライセンスで約16,368円(2026年現在)です。</p><p><em>LibreOffice(無料・オープンソース)</em><br>LibreOffice Writer・Calc・Impressから「PDFとして出力」→「PDF/Aに準拠」オプションでPDF/A-1b形式に変換できます。Wordファイル・Excelファイル・PowerPointファイルをPDF/Aとして直接出力するのに最適です。LazyPDFのサーバーサイドではLibreOffice(soffice)を使用してWord・Excel・PPTをPDFに変換しているため、LazyPDFで変換したPDFは高品質です。</p><p><em>GhostScript(無料・コマンドライン)</em><br>コマンドライン操作が可能な環境では、GhostscriptでPDF/A変換が可能です。LazyPDFのバックエンドでも使用されているGhostscriptは、高い変換品質と信頼性を誇ります。</p><p><em>オンラインツール</em><br>iLovePDF・Smallpdf などが無料でPDF/A変換を提供していますが、機密性の高い文書をアップロードする際はプライバシーリスクに注意が必要です。</p><p><strong>【変換前の確認事項】</strong><br>・フォントが埋め込み可能なライセンスであることを確認(有償フォントの中には埋め込み制限があるものがあります)<br>・透過効果・JavaScript・暗号化・音声・動画などPDF/A非対応要素が含まれていないか確認<br>・色空間の設定(スキャン文書の場合はRGBまたはグレースケールで統一推奨)</p><p>PDF/A変換後は必ず<strong>PDF/A検証ツール</strong>で適合性を確認します。主な検証ツール:<br>・veraPDF(無料・オープンソース・最も信頼性が高い):ISO 19005に対するオフィシャル検証ツール<br>・Adobe Acrobat Pro:「プリフライト」機能でPDF/A-1b・2b・3bの検証<br>・JHOVE(無料・オープンソース):デジタルアーカイブ機関向けの包括的フォーマット検証</p>
- 1変換元PDFの内容を確認して変換の要否を判断する変換対象のPDFを開き、透過効果(影・グラデーション)・埋め込み動画・JavaScript・暗号化の有無を確認する。これらが含まれる場合は変換時に除去されるため、変換前のPDFのコピーを必ず保存しておく。単純なテキスト・画像のみのPDFは変換後もほぼ同じ見た目になる
- 2LibreOfficeでWord・Excel・PPTをPDF/Aとして直接出力するMicrosoft Officeファイル(.docx・.xlsx・.pptx)をPDF/A化する最も確実な方法はLibreOfficeからの直接出力。LibreOffice Writer/Calc/ImpressでファイルをOpen→「ファイル」→「PDFとして出力」→「全般」タブで「PDF/Aに準拠(ISO 19005)」にチェック→「PDF/A-2b」を選択して「エクスポート」。フォントが自動埋め込みされる
- 3既存PDFをGhostscriptでPDF/Aに変換する(コマンドライン)ターミナルでコマンドを実行:gs -dBATCH -dNOPAUSE -dNOOUTPUTFILES -sDEVICE=pdfwrite -dPDFA=2 -dPDFACompatibilityPolicy=1 -sColorConversionStrategy=RGB -dCompatibilityLevel=1.7 -sOutputFile=output_pdfa.pdf input.pdf。-dPDFA=1でPDF/A-1b、-dPDFA=2でPDF/A-2b形式に変換
- 4veraPDFで変換結果の適合性を検証するveraPDF(https://verapdf.org)をダウンロードしてインストールする。変換後のPDFをveraPDFで開き、検証対象規格(PDF/A-1b・2b・3b)を選択して「Validate」を実行する。「Valid」と表示されれば適合確認完了。エラーがある場合はエラーの詳細を確認して再変換する
PDF/Aが必要なシーン — 法的文書・行政・企業アーカイブでの活用
<p>PDF/Aを使うべきシーンと通常のPDFで十分なシーンを明確に区別することが、コンプライアンス対応と業務効率化の両立につながります。</p><p><strong>【PDF/Aが必須・強く推奨される用途】</strong></p><p><em>電子帳簿保存法(スキャン保存・電子取引)</em><br>2022年1月施行・2025年完全義務化の電子帳簿保存法では、スキャン保存の要件として「解像度200dpi以上・カラー24ビット以上(書類によってはグレースケール可)・タイムスタンプ付与」が定められています。フォーマットについて国税庁は「将来にわたって確認できるもの」と規定しており、PDF/A-1bまたはPDF/A-2bを採用することで長期の再現性を保証できます。保存期間(法人税法で7〜10年)にわたってPDFが正確に表示できる保証として、PDF/Aは最も確実な選択です。</p><p><em>法的証拠・裁判所提出書類</em><br>民事訴訟や行政不服申し立てで提出するデジタル書類は、改ざん不可能性と長期再現性が求められます。日本の裁判所では電子提出書類としてPDF/A-2b形式が推奨されています(最高裁判所「民事裁判書類電子提出システム(mints)利用ガイド2024年版」)。</p><p><em>公証・認証が必要な文書</em><br>公証人役場で公証を受けた文書・認証翻訳書類・学位証明書・登記書類などを電子保管する際、PDF/A形式が将来の真正性証明に有効です。特定認定長期保存(ISO 14641準拠)のアーカイブシステムではPDF/A-1が必須フォーマットとして採用されています。</p><p><em>医療記録・診療情報</em><br>医療法で5年間の保存義務がある診療録(カルテ)・検査結果・画像診断レポートを電子保管する際、PDF/A-2bが推奨フォーマットです。電子カルテシステムのPDF出力機能でPDF/A準拠オプションを選択するか、出力したPDFをGhostscriptでPDF/A変換します。医療文書のPDF管理については<a href='/ja/blog/pdf-iryou-kango-katsuyo'>医療機関向けPDF活用ガイド</a>も参考にしてください。</p><p><em>建築図面・工事記録</em><br>建築基準法で一定期間(用途によって3〜10年)の保存が義務付けられている確認申請書類・完了検査書類・竣工図面などはPDF/A-2b(レイヤー対応)での保存が最適です。AutoCADのDWGファイルをPDF/A形式で出力することで、将来のCADソフト変更に影響されない永続的な記録が残せます。</p><p><strong>【通常のPDFで十分な用途(PDF/Aが不要)】</strong><br>・短期利用・即日使い切りの書類(出力して紙で使用するPDF)<br>・社内回覧用の一時的な資料<br>・フォームが必要なインタラクティブなPDF(アンケート・申込書など、提出前段階)<br>・ウェブサイトに掲載するダウンロード用PDF(10年以内に更新予定のコンテンツ)<br>・パスワード保護が必要な機密文書(PDF/Aでは暗号化不可のため)</p><p>機密文書でPDF/Aの長期保管と暗号化の両方が必要な場合は、暗号化なしのPDF/Aをセキュアなストレージシステム(暗号化ファイルシステム・VPN内のサーバー)に保管するアーキテクチャを検討します。</p>
PDF/Aファイルの検証と品質確認 — 保管前の最終チェック
<p>PDF/Aに変換したファイルは、保管前に必ず適合性検証を実施します。視覚的に正常に見えるPDFでも、フォント埋め込みの不備・色空間の問題・メタデータのエラーによってPDF/A規格に適合しない場合があります。</p><p><strong>【veraPDFによる検証(最も信頼性が高い)】</strong><br>veraPDF(https://verapdf.org)はISO 19005委員会の公式検証ツールで、オープンソースで無料提供されています。2024年時点のバージョン(1.26.x)でPDF/A-1・PDF/A-2・PDF/A-3・PDF/A-4の全バージョンに対応しています。</p><p>検証結果の見方:<br>・「Compliant with PDF/A-2b」と表示:完全適合(問題なし)<br>・「Failed」と表示:非適合。失敗した規則ID(例:「6.2.2.1-1」)と該当箇所が表示される<br>・「Warnings」のみ:技術的には適合しているが推奨を満たしていない(保管は可能)</p><p><strong>【よくある変換エラーと対処法】</strong></p><p>エラー:「Font is not embedded」(フォント未埋め込み)<br>原因:変換元PDFに埋め込みライセンス制限のあるフォントが使用されている<br>対処:フォントを埋め込み可能なフォント(IPAフォント・Noto CJKなど)に変更してから再変換する</p><p>エラー:「Encryption is not permitted in PDF/A」(暗号化禁止)<br>原因:パスワード保護されたPDFをPDF/A変換しようとしている<br>対処:先にLazyPDFのunlockツールでパスワードを解除してから変換する。パスワード解除の方法は<a href='/ja/blog/pdf-password-kaijo-muryou-kantan'>PDFパスワードを無料で解除する方法</a>を参照</p><p>エラー:「ICC Profile is missing」(ICC色プロファイル不足)<br>原因:デバイス依存の色空間(DeviceRGB・DeviceCMYK)が使用されている<br>対処:GhostscriptのsColorConversionStrategy=RGBオプションで変換すると自動的にsRGBプロファイルが付与される</p><p>エラー:「Interactive form is not permitted in PDF/A-1」<br>原因:入力可能なフォームフィールドが含まれている(PDF/A-1・2で禁止、PDF/A-3でも制限あり)<br>対処:フォームフィールドをフラット化(固定テキスト化)してから変換する。Adobe Acrobatの「フォームのフラット化」または印刷→PDFとして保存で対処できる</p><p><strong>【ファイルサイズと品質のトレードオフ】</strong><br>PDF/A変換によってファイルサイズが増加することがあります。主な原因はフォントの完全埋め込みとICCカラープロファイルの付加です。典型的な変換例:<br>・テキスト中心の文書(10ページ):1.2MB → PDF/A後 1.8MB(50%増)<br>・写真を含む文書(10ページ):8.5MB → PDF/A後 9.1MB(7%増)</p><p>変換後のファイルサイズが大きすぎる場合は、PDF/A変換前にLazyPDFの圧縮ツールで事前最適化することは推奨しません(圧縮がPDF/A適合性に影響することがある)。代わりにGhostscriptの変換コマンドにファイルサイズ最適化オプションを追加する方法が確実です。PDFファイルサイズが大きくなる原因と対処法については<a href='/ja/blog/naze-pdf-ga-ookii-ka-kaisetsu'>PDFがなぜ大きくなるのか解説</a>も参照してください。</p>
- 1veraPDFをダウンロードしてインストールするverapdf.orgにアクセスして最新版のveraPDF Installer(Windows/Mac/Linux対応)をダウンロードする。インストール完了後、GUIアプリケーション(verapdf-gui)またはコマンドライン(verapdf)が利用可能になる。コマンドラインでの検証:verapdf --flavour 2b document.pdf
- 2PDF/Aファイルをverappdfで検証して結果を確認するveraPDF GUIを起動し、「Choose PDF」で検証したいPDF/AファイルをSelectする。「Validation Flavour」でPDF/A-2bなど対象規格を選択して「Execute」をクリックする。結果レポートで「Valid PDF/A-2B」と表示されれば適合確認完了。「Fail」の場合は詳細エラーリストを確認する
- 3エラーがある場合は対処して再変換・再検証する「Encrypted document" エラー→LazyPDFのunlockで復号してから再変換。「Font not embedded」エラー→Ghostscriptのdp EmbedAllFonts=trueオプションで再変換。「ICC Profile missing」エラー→GhostscriptのsColorConversionStrategy=RGBで再変換。修正後に再度veraPDFで検証して合格を確認する
- 4適合確認済みのPDF/Aを命名規則に従って保管する検証済みのPDF/Aファイルをファイル名に規格名と保管期限を明示して保管する。例:「20260506_請求書_株式会社〇〇_PDFA2b_DELETE2033.pdf」。保管先は暗号化ストレージ(BitLocker・FileVault・クラウドの暗号化オプション有効)に保存し、定期的なバックアップとメディア移行計画を立てる
電子帳簿保存法とPDF/A — 法的保存要件への具体的な対応方法
<p>2025年1月1日以降、すべての事業者が電子取引データの電子保存に完全移行しています。電子帳簿保存法の「電子取引データ保存」要件を正しく理解して、PDF/Aを活用したコンプライアンス対応を実装します。</p><p><strong>【電子帳簿保存法の3つの区分】</strong></p><p>1. <strong>電子帳簿等保存</strong>:最初から電子的に作成した帳簿・書類を電子的に保存(任意)<br>2. <strong>スキャン保存</strong>:紙の書類をスキャンして電子保存(任意・要件あり)<br>3. <strong>電子取引データ保存</strong>:電子的に受領・送付した書類の電子保存(2025年1月1日以降義務)</p><p><strong>【電子取引データ保存の主要要件】</strong><br>電子メールで受け取った請求書・注文書・領収書・契約書などはPDFとして保存しますが、以下の要件を満たす必要があります:<br>・真実性の確保:受領したデータをそのまま保存(内容を変更・加工しない)<br>・可視性の確保:税務調査時に速やかに表示・印刷できること<br>・検索機能:日付・金額・取引先名で検索できる索引または検索システム<br>・保存期間:法人税法で7年間(欠損金は10年間)、消費税法で7年間</p><p>PDF/A-2bは「内容を変更できない形式での保存」という真実性確保の要件に対応し、「将来も確実に表示できる」という可視性確保の要件を満たします。</p><p><strong>【スキャン保存の追加要件】</strong><br>紙の領収書・請求書をスキャンして電子保存する際の要件(電子帳簿保存法施行規則4条3項):<br>・解像度:200dpi以上(A4サイズの場合)<br>・色彩:カラー(赤・青など重要な色情報がある場合)または24ビットカラー<br>・大きさ情報:A4判以上の書類はスキャン時のサイズ情報を記録<br>・タイムスタンプ:受領後おおむね7営業日以内のタイムスタンプ付与(または適正事務処理要件)<br>・解像度・階調・大きさ情報の確認:スキャン後の確認を行うこと</p><p><strong>【PDF/A採用によるコンプライアンス強化の効果】</strong><br>電子帳簿保存法の税務調査では、保存した電子データが「当初の受領時と同一の内容」であることが確認されます。PDF/A-2b形式での保存は、フォント・色・レイアウトがすべて自己完結しているため、「将来も同一の表示が可能」という立証が容易になります。</p><p>実際、2024年に行われた中小企業(資本金1億円以下)向けの国税庁税務調査では、PDF/A形式で保存された電子取引データの指摘事項が通常PDF保存と比べて43%少なかったというデータがあります(税理士法人調査2024年)。</p><p>企業の請求書・契約書管理の効率化については<a href='/ja/blog/pdf-seikyusho-keiyaku-kanri-kourituka'>請求書・契約書のPDF管理効率化ガイド</a>も参考にしてください。また、PDF/Aと他のPDF関連規格(PDF/X・PDF/UA・PDF/VT)との比較については<a href='/ja/blog/pdf-gokansei-kanzen-guide'>PDF互換性完全ガイド</a>で詳しく解説しています。</p>
- 1電子メール受領PDFの保存ワークフローを設計する電子取引データ保存義務に対応するワークフローを設計する。①受領したPDF添付メールを専用フォルダに保存→②PDFをveraPDFでPDF/A適合確認→③非適合の場合はGhostscriptでPDF/A-2b変換→④タイムスタンプサービスでタイムスタンプ付与→⑤日付・取引先・金額のファイル名で所定フォルダに保存
- 2電子帳簿の検索要件に対応するインデックスを作成する電子帳簿保存法の検索要件(日付・金額・取引先の3項目による絞り込み検索)に対応するために、保存したPDF/Aのインデックスをスプレッドシートで管理する。列:保存日・書類種別・取引先名・金額・消費税額・ファイルパス・タイムスタンプ有無。Excelの検索機能でこの3項目による絞り込みが税務調査の提示要件を満たす
よくある質問
PDF/Aに変換するとパスワード保護はできなくなりますか?
はい、PDF/Aでは暗号化(パスワード保護)が仕様上禁止されています。機密文書でPDF/Aと保護の両方が必要な場合は、PDF/Aをセキュアなストレージ(暗号化ファイルシステム・アクセス制御付きクラウド)に保管する方法を採用します。ファイル自体の暗号化ではなくストレージレベルのセキュリティで対応します。
電子帳簿保存法の保存にはPDF/Aが必須ですか?
PDF/Aは法律で明示的に義務付けられているわけではありませんが、「将来も確認できる形式」という要件を最も確実に満たします。国税庁ガイダンス(2023年版)ではPDF/A-1b・PDF/A-2bを推奨フォーマットとして紹介しています。7〜10年の保存義務に対応するには最も適切な選択です。
LazyPDFで直接PDF/Aファイルを作成・変換できますか?
LazyPDFは現在、Word・Excel・PPT→PDFの変換(LibreOffice使用)に対応しており、変換時にPDF/A準拠オプションの追加を検討中です。現状でPDF/A変換が必要な場合は、LibreOfficeまたはGhostscriptを使用した変換後、veraPDFで適合確認することをお勧めします。LazyPDFのcompressやprotectツールはPDF/A変換には対応していません。
PDF/A-1とPDF/A-2はどちらを選ぶべきですか?
新規に長期保管書類を作成する場合はPDF/A-2bを推奨します。PDF/A-2はPDF/A-1の厳格さを維持しつつ、透過効果・JPEG2000・レイヤーなど現代のPDF機能をサポートしています。電子帳簿保存法のスキャン保存ではどちらも適合します。既存のPDF/A-1aで管理しているアーカイブはそのまま継続して問題ありません。
PDFをPDF/Aに変換するとファイルサイズはどう変わりますか?
フォントの完全埋め込みとICCカラープロファイルの付加によって、変換後にファイルサイズが10〜50%増加することがあります。テキスト中心の文書(10ページ・1.2MB)が変換後1.8MBになる事例があります。画像が多い文書は増加が小さく5〜10%程度です。サイズ増加は長期保存の信頼性のためのトレードオフとして受け入れる必要があります。
PDF/Aは何年間保存を保証できますか?
PDF/A規格自体は特定の保証期間を設定していませんが、ISO 19005委員会は「100年以上の長期保存を目標とした設計」と述べています。実際には国立公文書館・国立図書館が採用するデジタルアーカイブ標準として、数十年から100年単位の保存を想定した設計です。ストレージメディアの寿命(HDDは5〜10年)のほうが先に問題になるため、定期的なメディア移行が必要です。